農業の脱炭素化に向けての切り札として、CSA(Community Supported Agriculture)が大きな期待を集めている。地産地消によるフードマイレージの縮減や、規格外品の有効活用や、余剰廃棄の削減により食ロスの縮減効果もある。さらにDXにより個人と個人が直接取引する(p2p)コストが劇的な低下がこれを後押しすることが期待される。
農業の脱炭素化に向けての切り札として、CSA(Community Supported Agriculture)が大きな期待を集めている。
これは、地域の農業を消費者と農家が、リスクを分かち合ってお互いに支え合う仕組み「地域支援型農業」と訳されるが、CSAおよび有機農業の第一人者である、波夛野豪三重大学名誉教授は、その著書「分かち合う農業CSA 日欧米の取り組みから」の中で「生産者と消費者がコミュニティを形成しながら有機農業を支える方法」と定義している。
「消費者が生産者と一緒に生産のリスクを共有するだけでなく、みずから野菜の栽培、仕分け、引き取りなどに参加する例も多い」。循環型経済・社会へのパラダイムシフトが世界的に起きているなかで、その先駆的な取り組みが広く普及・拡大する可能性がある。
CSAには様々な類型があるが、例えば、「農家と消費者が1年間の農産物の売買契約を結び、消費者は農家に1年分を前払いする。その代わりに、農家は毎月定期的に季節の野菜セットを届ける。」のが典型例だ。
CSAは1980 年代にアメリカで最初に始まったとされ、現在では欧米を中心に世界的な拡がりをみせている。欧州では、ドイツ、スイス、イタリア、フランスなど22か国に広がり、アジアでも、台湾、韓国、中国では2000年代から取り組みが始まっている。
循環型経済・社会へのパラダイムシフトの中で、日本でも様々な方々が尽力しCSAが徐々に普及・浸透しつつある。農研機構の『CSA(地域支援型農業)導入の手引き』にいくつかの事例が掲載されている。
食料・農業・農村基本計画においても、「農」を支える多様な連携軸の構築として大きく紹介され、農林水産政策研究所は『事例調査にみるCSAと農業・農村の機能・価値との関係性』を出版している。
今後CSAの様々な実践事例や、その脱炭素への効果などについて、紹介していく。