以下は、株式会社NAC星野農場長のブログ記事です。
‘’農家じゃないからこそ言えること。‘’
たまに、『農家』として紹介される私ですが、私は農家じゃありません笑
自分のことは、畑を通して食や自然環境のことに興味を持ってもらえるような体験と情報を提供する
『ファームインタープリター』を自称してます。もしくは現代百姓。
農家じゃないからこそ言えることというのが、『農家さんに感謝しよう』ということ。
自分が農家だったら『私たちに感謝して下さい』って言うことになっちゃうから笑
この、感謝というのももう少し深掘りしていきます。
【『無意識の見下し』と『謎の下から目線』】
時々、『農家を支えよう』とか『守ろう』そのために野菜やお米を買おう。
というのを見聞きしますが、これって
『情けは人の為ならず』
(※よく誤用されてる方の意味ではなく、本来の人に情けを掛けることは巡り巡って自分に返ってくる、つまりは自分の為になるという意味の方)
と同じに考えなきゃいけないことで、農家さんが居なくなって困るのは私たち消費者です。
農家さん(特に国内の)がしっかりと経営をしていけるだけの利益が出る価格で農作物を購入することは、持続的に農産物が市場に供給されて、私たちがいつでも十分な量を購入できるようにするために必要なことです。
それを勘違いしやすいのが、
『買ってあげてる』という、『無意識の見下し』(←最近聞いたパワーワード)
しかも農家さん側にも、支えて貰わなければやっていけないという『謎の下から目線』(←友人農家さんが言ってた言葉)があったりします。
※もちろんそうじゃない農家さんも沢山いると思います。
【自分でやってみるとわかるその大変さ】
畑やってみると、ほんとーーーに、大量の農産物を安定生産することの大変さがよくわかります。
ただ野菜を育てて収穫するだけならそんなに難しくないのですが、規格に沿った野菜を大量に育ててそれで利益を出す農業経営というのは本当に大変です。
現代日本は農家さんや行政のお陰で、今やわざわざ食べ物を輸入してまで捨てるほどに飽食になりました。
飢えとの戦いは動物みんなが誕生してからずーっと抱えるテーマだったけど、それをここ数十年で大量の資源消費を以って克服しました。
昔は今よりもずっと農家さんが多くて、都市部以外ではどこの家でも畑や田んぼをやっていて食糧を自分たちの手で作っていましたが、近年は機械化が進んだおかげもあって大規模にやる専業農家さんに集約されてきています。
生産地と消費地がどんどん離れていったことで、私たち消費者の食べ物に対しての意識や間隔が変わってしまったのだとも思います。
安くて便利でそれなりに美味しい物。そういった食べ物が現代には溢れかえっています。
でも長くは続かないやり方です。今の消費社会は石油を始めとする化石資源に依存仕切った社会です。
もってあと100年。早ければ50年以内かもっと早くに今のやり方は出来なくなります。
それまでに持続的な生産流通消費の仕組みにシフトできるかどうか。
その一つのポイントになるのは自給的農業ではないかと思います。温故知新ですね。
自給農ならば、化石資源や輸入資材に依存せずにできる自然農でも十分対応できます。
2022年3月2日:収穫した野菜たち。全て無農薬無肥料で栽培したもので、大根以外はタネも自家採種したものです。栽培方法も種を蒔いたら一回草取りするだけで後は水やりもなにもせずに待つだけ。
【自給率を高める事が平和にも繋がっていく】
戦争のことが毎日ニュースで報道されていて心を傷めている方も多いと思います。
戦争反対も大事なのですが、そもそも何故戦争が起きるのか?
対処もしながら、予防をしていく為に必要なことはなんなのか?
私はその一つが食糧、水、エネルギー、その他資材の自給だと考えています。
持続的な方法で生産をして、余ったら人や他国に譲る。
もしそれが世界中で行えれば、物は余ります。
『奪い合えば足りず、分かち合えば余る』
とはいえ、全員が生産職を必要はもちろんなくて、それぞれの役割を分担して行い、他者に敬意を払って、物やサービスを交換しあう。その道具としてお金という存在があります。
道具に振り回されるのではなく、道具は使いこなして人生を豊かにしていく。
そういったことも、自分の手で食べるものや日々使う物を作ってみると考えやすくなると感じています。