以下は、株式会社NAC星野農場長のブログ記事です
少し前に書きかけてそのままにしていた記事ですが、最近また食糧問題についての話題が再燃しているので書き上げました。
4月から農業新聞を取り始めて度々目にする『企業の農地取得』についての議論。
…といきなり言われても一般の方には何のことか、何が問題や懸念することなのかもさっぱりわからないと思うので、今回は参議院選挙後に議論が本格化すると言われていた本件について書いていきます。
※後半の私の意見などについては文字にするとややこしくなったので、見出しだけ書きました。内容が気になった方は動画をご覧になってください。
農地は農家しか買えないものだった
農地は『農地法』によって守られています。
簡単に言うと、農家や農業生産法人など農地を取得する資格を持った個人や団体でないと農地を購入・取得することができないという法律です。
ではそれ以外の人や法人では農業を出来ないのかというと、そうではなく、
借りて使う利用契約をすれば農地を利用して農業生産を行うことができます。
それだと企業が参入しにくいので、規制緩和を進めようという議論が始まっています。
なぜ不便とも思える『農地法』があるのか?
農家でない(農地を所有していない)人が農業をしようとした時に最初のハードルになるのが、使える農地を手に入れること。
上述の通り、必ずしも購入する必要はなく、リースなど借りて行うこともできます。
農地を借りる方法についてはいくつか方法がありますが、いずれも計画書の作成や農業委員会に認めてもらうことが必要だったりと、かなりめんどくさいです。
家を借りるように簡単にはいきません。
ではなぜそのようにした簡単に貸し借りが出来ないようになっているかというと、
①農地が資産保有目的、投機目的等の対象として農業者以外の者に取得されないようにする。
②農地が生産性の高い農業経営者に効率的に利用されることによって、農業生産力の維持、拡大を図る。
この2つの理由の為です。ここポイントなので後でも出てきます。
農地法に則った許認可を受けずに農地の売買はできませんし、仮に当人間で貸借等を行っても法律上無効であり、権利が保障されません。借り手側が勝手に不法使用していることになるので、実際に借りて使うことはできても地主さんに返せと言われたら栽培中でも返却しなくてはならず非常に不利でリスクのある契約になります(そもそも違法なので)
農地法が無かったらどんなリスクがあるのか?
農業の企業参入や農地取得の目的は?
議論される規制改革は大きく2つ『取得』と『出資』
↑これらについて書こうとしたのですが、私の言いたいことについては、動画を見ていただいた方が早いのでYouTubeのリンクを貼っておきます。
参議院選挙は終わったけれど
…
さて、この動画をアップしたのは選挙の前です。
農業新聞には『選挙後に議論が活発化する』とあったのですが、選挙が終わってからこの件については、私が見逃しているだけかもしれませんが、殆ど記事を見かけなくなりました。
新聞には載らないけれど、活発に議論がされているのか、いないのか…。
農地の保全と活用は、国内の食糧生産、食糧自給に直結するものです。
日本の農政がどのように進められていくのか。
私のような農家ですらない、一個人が社会全体に関わるようなことはなかなかできませんが、世の中の情勢をみて、自分と家族、身の回りの人たちにの助けになるように備えて行動していくことはできるので、そのためにも引き続き情報を得て考えていこうと思います。