以下は、株式会社NAC星野農場長のブログ記事です。
『虫が食べた野菜の方が安心安全で美味しい』は誤解
『虫食い野菜の誤解』
このテーマは以前にも書きましたが、未だにSNSで見かけますし
『虫食い野菜=無農薬=安全で美味しい』
と思っている方も多いんじゃないかと思うのでまた書きます(^ω^)
最初に書きますが『虫が食べた野菜の方が安心安全で美味しい』
という表現、これは嘘です。
虫が食った野菜は少なくともその部分の食味は確実に悪くなりますし、虫食いが多い野菜はそもそも不健康に育った(無理をして育てられた)野菜の可能性が高いです。
栽培適期に健康的に育った野菜は虫に食われにくいし、食われてもその後復活します。
『虫食い野菜が安心安全』
というのは迷信です。
ちなみに『安心安全』ではなく安全な食品だからこそ安心して食べられる、だから『安全安心』という方が正しい。というご意見もあり、それももっともだと思いましたが、安心安全の方が聞き慣れてしまったせいか、語感的になんだかしっくり来るんですよね。
これはとあるグルメマンガの影響が大きいと感じています。
そのマンガが書かれた当時はまだ研究も比較実験もされていなかったから仕方ないのかもしれないけれど、私も子どもの頃に読んで自分で自然農を実践して観察するまでは信じていましたから、実際に比較していない人たちの方が圧倒的に多いので誤解が広がったままなのも仕方がいのかとも思います。
『綺麗な野菜を欲するのは本能?』
見た目がきれいな野菜を手に取りたがるのはある意味本能としては正しいのだと思います。
私も自然農で野菜育てて観察と試食を繰り返してきたけど、見た目の美しいものの方が美味いです。味自体はそうこまで変わらなくても、可食部の割合が多くて食べやすい、美味しい部分の割合が多いということもありますし、上述の通り虫食いや病気などの痕があるところは食味が悪くなっているからです。
また、自然界で美しく立派に育つには恵まれた生育環境で健康的に育つ必要があって、そういったものは美味しくなります。
これは、魚とか獣で考えるとわかりやすいです。
元気な個体はエサを十分に食べて運動が出来るので脂も乗ってて旨い。
見た目の綺麗なものは美味しい、栄養があるというのは、人間が長い時間をかけて積み重ねた経験によるものなんじゃないかと思います。
それが現代では、季節外れに栽培したり、過度に早く大きくするためにたくさんの肥料が使われたりして、野菜に無理をさせるから病気や虫食いが起きやすくなる。
だから薬でそれらを抑えて、見た目はきれいで大きな野菜を早くたくさん作るようになりました。
味そのものよりも、見た目と大きさで市場の買い取り価格や消費者への売れ行きも左右されやすいので、優先される基準が見た目と大きさ(規格サイズ)となってしまったのだと思います。
↓最近収穫したブロッコリーとニンジンです。
もちろん無農薬無施肥の自然農による栽培です。
↑このニンジンをよく見ると一番手前の大きいオレンジ色のものは表面がデコボコしていてネコブセンチュウにやられた痕があります。
同じ畝で同じように栽培していても、虫に食われるものもあれば食われないものもあります。
同じ条件で育っていれば、虫に食われていない方が食味が良くて美味しいと私は思います。