以下は、株式会社NAC星野農場長のブログ記事です。
‘これからの農業のイノベーションについて考える。‘’
だんだんどうも、かーびーです===(((^ω^)===
さて今回は、SNSの広告やネットニュースの見出しやコラムなんかで時々見かける
「農業にイノベーションを」「新時代の農業」「まったく新しい農法」
みたいなキャッチコピーについて、
なんだかもやっとした気持ちがちょびっと生まれるのでそれを文字に起こしてみました。
食糧を得るという点において、究極にイノベーションなのは、
種を蒔いたらあとは収穫までほぼ人の手も人工的なエネルギー投下もなく収穫出来るようになること
だと個人的には考えてます。
遺伝子をいじくったり、大掛かりな設備を作ったり、AI操作で水や養分管理したり、ドローンで農薬撒いたり…
ハイテクだけど、脆さもあるし、何よりお金が掛かる。
そして個人では再現不可能なものなので、大企業による支配がしやすくなります。
(ビジネス的に一部の企業が独占してお金を稼ぐ手段としてのイノベーションというのなら、ハイテク化させていくのは合理的です)
私がやっているような、自然農法、自然農と言われるやり方ははっきりいって生産効率という点からしたらめちゃくちゃ悪いです。
ただし、それは『人間1人の労働時間に対して』です。
2021年6月30日撮影@ピースファーム:農薬、肥料、石油系資材のマルチや支柱など使わずに自家採種したタネから育てた苗を不耕起の畑に植えて水やりも雨任せで育った夏野菜たち。草を生やす事で土が肥える。
SDGsとか持続可能性が重要と言われるようになった最近では、
究極的に持続可能な農業も考えられるべきじゃないかと。
こういう話をすると必ず
『それで世界人口を養うだけの食糧が作れるのか?』
という意見が出るのですが、0か100か、白か黒かみたいな二極論で話をすること自体がまずナンセンスだと考えます。
現代の世界では食糧はむしろ生産過剰な状態。
それでも世界から飢餓は無くならない。
これは、生産技術の問題ではなくて、分配のやり方に問題があるということ。
それに現代の効率的な栽培方法は、その裏側でどれだけの資源消費をともなっているのかを考えなくてはいけないです。
そういうことをあれこれ考えていると、その土地の気候風土に根ざした伝統的小規模農法をやりつつ、足りない分を各国各地域で輸出入して補い合う。
そういう仕組みづくりこそが、本当に必要なイノベーションなのだと思うんです。
だから、個人でも気軽に出来て資材を外部に依存せず自給可能な自然農のやり方には単純な生産効率では測れない価値があるんじゃないかなって。
そうでも思わないとやってられない気持ちも時々沸き起こるんです笑
米麦大豆の主要穀物を栽培してみると本当にそれを痛感します。
主食となる農産物はとても重要だからこそ、生産技術や機械化が進んだおかげで、安定的にとても安価に生産、提供されるようになりました。
それはつまり、昔ながらの伝統的な農法での生産方法では全く採算が取れなくなることでもあります。
実際にやってみると、ほんとうに痛感します。
田植えと稲刈りだけが米作りじゃないんです。除草剤を使わずに草の管理をすることがどれだけ大変なことか。。。
現代の農業技術のおかげでそういった苦労をしなくても多くの人が飢えなくなったどころか、先進国においては毎日大量の食糧が廃棄されている現実があります。
こういった事実から考えるならば、イノベートすべきは生産方法よりも、分配方法と地球環境に対しての負担をいかに減らしていくかではないかと思います。
…とそんなことを考えながら手作業で収穫した古代小麦の天日干しと選別、籾摺りを小さな機械を使って行っていました。